ミシンの垂直釜のカバーが取れてしまったので見てほしいと、私の所に持ち込まれました。
フリーアーム下側のカバーが割れて、板バネが外れかかっています。
問題点の把握
下糸釜のカバーはフリーアーム下側の樹脂カバーに付いているのですが、釜カバーの軸は下から板バネで押さえつけているだけの構造です。
常に応力が掛かっているので、ハウジングの肉がテコの原理でめくれ上がったようです。
一旦切り離し、接着剤で付け直す方針で行こうと思います。
接着
ABSの成形品なので、二塩化メチレンで接着します。注射器で溶剤を破断面にたっぷり掛け、クリップで挟んて固まるのを待ちます。
接着剤がはみ出した所は黄変が取れて白くなります。
リブごと押さえつけてくっつけます。
接着剤が表面を溶かし、ぐちゃぐちゃです。
#400で水研ぎし、コンパウンドで磨きました。当初はこれで完成のつもりだったのですが、また割れそうな気がしたので、念のため板を貼って強化することにしました。
強化対策
厚い所が1.5mm、薄い所が0.5mmの板をモデリングし、3Dプリントします。
白ABSで出力。
プリント完了。
強化板の裏側に二塩化メチレンをたっぷり掛けて、圧着します。
縁をヤスリで削って段差を無くしてから釜カバーを取り付けます。
開閉動作を確認します。
動作OKです。
アーム下側に取り付け、ネジを締めます。
修理完了。
でも不調
修理は完了したのですが、プーリーを回して針を下ろしても下糸を拾わないんです。ここの板金部品が関係しているのではないかと思ったんですが、これは下糸切りの機構らしい。
ボビンケースが回らないようにしているのかね?
巻きバネが付いているのですが、バネが効いているようには思えないんですよね。
釜カバーを直すことについては完璧ですが、ミシンが縫えない状態のままというのが消化不良です。そのうち詳しい人に見てもらう予定です。 (満足度:80)
その後、詳しい人に見てもらったら、すぐに直りました。下糸を拾わない原因は溜まった糸くずがフェルト状になっていたことでした。針板を外して中を清掃、注油。これだけです。
コメント
どこかの摺動部分が上手く動かないのでしょうか。
私は摺動部にはドライシリコンを使っています。
KURE シリコンルブスプレー No.1420
自転車のチェーン、アナログ時計や昔の腕時計、ドアのヒンジ部分等動く部分全般。
CRC556とは違って、スプレー後はサラッとし埃など付かないから便利です。
注意点は、床に付くと暫くは滑り過ぎて転びそうになります。
一応注油はしたんですけど、ダメですね。
もしかしたらボビンケースを新品に替えたら直るとか、簡単なことかもしれません。
ミシンにはエーゼットのミシン油を使っています。
シリコンはこだわり無いのでカインズのPB。
KUREの製品で気に入っているのはドライファストルブです。鍵穴からワイパーゴムまで割と広範囲に使えますね。
糸を拾わないとなると針とカマのタイミングがズレている可能性がありそうですね。
でもまずは針の交換と糸の通し直しを試したら直るかも。
>カマのタイミング
なるほど、それもありそうですね。
でも、そんな簡単にずれるものなんでしょうかね。
バネが折れているとか、簡単なことではないかと予想しています。